法定遺言事項と付言事項

法定遺言事項と付言事項

 

 

 

遺言には法的な効力のある法定遺言事項付言事項があります。

 

法定遺言事項とは遺言書に記すことで法的な効力が認められます。

 

以下に一例を挙げます。
 ・相続分の指定
 ・遺産分割の方法の指定
 ・遺贈
 ・遺言執行者の指定

 

これに対して付言事項には公的効力は伴いません。

 

遺言書を作成した趣旨や、感謝の言葉を記します。

 

法的効力が無いので記載を省略してよいのではと考えられる方がいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。

 

経験上、こちらも強い効力を持ちます。

 

一例を挙げます。実際に当事務所で作成した遺言と同趣旨の遺言です。

 

 私は自ら設立し、経営してきた株式会社・・・を長男に継いでもらいたいと切に願い、そのことを中心にこの遺言書を作成しました。本文で株式を長男に相続させることにしたのは、長男に会社の経営権を与えることと、会社の安定経営を計るためです。
 当社を継ぐ者は長男しかいないこと、当社事業の場合、財産を細分化したのでは、到底 経営が成り立たないのは皆も理解しているとおりです。
 これから長男には株式会社・・・の代表として私がこれまでそうしてきたように身を粉にして働いてもらいたいです。そうしたことの積み重ねが家族や従業員を守ることに繋がることを長男にも知ってほしいのです。当社の更なる発展を切に願っております。
 家族や従業員を第一に考え、会社存続のための遺言であるため二男、三男に関しては本遺言では触れてはいませんが、本遺言の趣旨をよくよく理解の上、会社存続のため、遺留分を主張することなく、これからも互いに助け合い、末永く仲良く暮らすことを切に希望します。

 

上記遺言の本文では長男に会社株式の全てを相続させると記載し、二男・三男には相続させないこととしています。

 

そのため二男・三男からの不満が募ることが想定されますが長男に相続させることとした経緯を付言事項で記しておけば二男・三男も納得し、円満相続が実現できるのです。

 

当事務所では依頼者様から丁寧にヒアリングを行い、「ゆきとどいた、やさしい付言事項作成」を心掛けております。